<特別記事>利尻・礼文ウォークバーディングのハラハラドキドキ顛末記

昨年、7月6~10日の利尻・礼文旅行を計画しました。飛行機などの予約は5月です。ちょうど緊急事態宣言が解除になったすぐの旅行です。そんな時期ということもあり、礼文島の人気のトレッキングコースの一つ、岬コースは我々二人の貸切でした。野鳥の成果としては、コマドリ・ノゴマ・コヨシキリ・ホオアカ・絶滅危惧種のアカモズが新規で、撮影済みの野鳥としては、ベニマシコ・ウソ・ノビタキなどそれなりに満足の結果でした。ただ、大変な一ヶ月半でした。5日間の旅行が何故一ヶ月半にも及ぶのか、これから、驚きと困惑・冷や汗・恐怖、の旅行、そのお話をいたしましょう。

最初のハプニングは6月中頃。

初日宿泊予定の利尻のホテルから、7月一杯休業することになった、と連絡がありました。コロナ禍のご時世、仕方がないかと急遽別のホテルを探し予約しました。

6月18日、今度はピーチから新千歳への便がコロナ関連で減便対象となり飛びません、ときました。もやもやとしながらANAの便を検索しましたら、ピーチの6~7倍の価格です。JALにいたってはさらに高くなっていました。う~ん、、、、と考えながら、そうだスカイマークは、と思って見てみると、ほぼ同じ時間で席が空いていました。二人で2万円ほどの追加出費となりますが仕方がありません。

やれやれ、これで何とか行ける、と思っていた25日、18日予約ですから、わずか1週間後にスカイマークも減便で飛ばなくなりました。1週間前にそれくらいわからんのか、と心の中で悪態をつきながら、再度熟考です。

日程を含め全てリセットしようか、とも思いましたが、念のためまたピーチを見たら、前回予約した便より1時間早い便が飛んでいました。最初より二人で2千円ほどの追加出費、スカイマークより18,000円ほど安くなりました。一体これまでのキャンセル、予約、キャンセル、予約の繰り返しは何やったんや、と振り返りながら、まず行けることになったことを素直に喜んでいました。

“いました”なんです。さらに続きます。

初日6日新千歳空港に着きました。新千歳から利尻島へはANAとなります。まずは手続き、とANAのカウンター方面に移動している途中でANAからメールが入りました。利尻上空の風が強いので飛ばないかもしれない、とのことです。11時50分(フライトは12時35分発)の判断となります、と書いてありました。もうムチャクチャです。

フライトがキャンセルとなった場合のシミュレーションを考えました。選択肢は二つ。翌日のフライトに変更する、もう一つは稚内まで飛んで翌日フェリーで直接礼文島に入る、です。ただ、利尻のホテルは当日キャンセルで100%没収、新千歳での宿泊代、あるいは稚内までの飛行機代、稚内の宿泊代と翌日のフェリー代がさらに必要。

考えながら、待っている間にまずは腹ごしらえと空港内のカウンタースタイルの寿司屋さんへ。ちょうど食べ終えた頃、“引き返すかもしれない”という条件付き飛行、と連絡がありました。もうこれに賭けるしかありません。飛行の30分、なんと長かったことか。ようやく利尻富士が見え、そして利尻着陸直前にガタガタと揺れながらも無事着陸。

ようやく着きました。この時、心配事ももう終わり、ゆっくりと利尻・礼文旅行を楽しもう、とさすがに思いました。さらに続いているとは、夢にも思っていませんでした。

礼文での3コースのトレッキングを含め、全ての日程を終え、食べ、歩き、撮った、と満足しながら利尻空港に着きました。ところが、フライト情報の欄に、新千歳からの飛行が条件付き(来た時と同じです)となっている、と書いてあります。こちらに着かなければ我々は帰れません。売店の方に飛んでくる方向を聞きましたら、風向き次第でどちらから降りてくるかはわからない、とのこと。到着予定の10分ほど前から空港の送迎デッキに出て、あっちかこっちかと、祈るような気持ちで飛行機の到着を今か今かと待っていました。そして、ほぼ定刻に雲間に前照灯が見えました。着陸した瞬間、思わず拍手をしていました。その時、何故かアリスの“チャンピオン”のメロディーが浮かんできました。『帰れるんだ、これで帰れるんだ』

何とハラハラドッキリの旅行だったことか。しかし、まだここから恐怖の1週間が待っていました。

金曜日の夜帰宅したのですが、その夜と言いますか、明け方だったと思うのですが、左肩に何となく違和感があり、起きてからその当たりを触ってみたらザラ、という感触がありました。無意識に搔くなどしてかさぶたができたと思い、女房に塗り薬を、と言ったら、患部を見て、トゲが刺さったままだから抜いてから薬を塗る、と言ってピンセットで抜いてくれました。ところが、そのトゲが生きていたのです。皮膚に食い込んでいたのです。

すぐに近くの皮膚科へ走りました。医者にティッシュペーパーにくるんだ虫を見せたところ、最初はマダニやな、と言っていたのですが、拡大鏡でじっくり見ていて、違うか、と言いながら大きな図鑑を持ってきました。やがて、、、、これだ、と言って見せてくれたのが、“シュルツェマダニ”でした。東北から北海道にかけて生息しているダニらしいです。医者も初めて見たと言っていました。

最終日の利尻のホテルではかなり念入りに体を洗ったので、翌日に付着したと思われます。フライトが午後だったので、午前中は沼や湿原を歩きました。その一つの道が結構狭く、笹などが体に触れていました。多分この時に付着したのだと思います。長袖Tシャツの繊維の間から入ってしまったにしても、帰宅してから風呂にも入りましたので、何故気付かなかったのか、色々考えたのですが、結局 ? です。

医院では、患部をレーザーで焼き、抗生物質をもらい、2日後に再診に行きました。特に噛まれた所が広がってもいなくて、1週間抗生物質を飲み、異常がなければOK、熱が出たら皮膚科では対処できないので内科に行きなさい、とのこと。それは少ない確率ながら死にもつながることを意味していました。

恐怖におびえながら、毎朝腫れていないことを確認しながらの1週間を過ごし、そして無事生還を果たしました。

長~い長い旅行でした。

★撮ってきた野鳥の写真です

礼文 コマドリ
礼文 コヨシキリ
礼文 ノゴマ
礼文 アカモズ
礼文 ホオアカ