名前の由来その②(2021.09.16)

前回、この夏まだ会えないと書いたサンショウクイは無事戻ってきました。絶滅危惧種の野鳥に毎年会えるのはうれしい限りです。ただ、キバシリは依然行方不明(?)
です。

さて今回はそのキバシリの名前の由来から始めます。

動きそのままの名前です。木を走ります。背中の色が木と同じ茶系ということもあり、なかなか見つけにくい野鳥の一つですが、見つけると写真を撮るのを忘れて魅入ってしまいます。

キバシリ①は見つけた時のものです。焦点も合っていなくて、これだけではキバシリとはわかりません。ただ、動いているので何度か見たことがある人にはキバシリとわかります。

これからが早いです。とにかく早い。本当に木を走っています。それも、下から上に、です。早すぎてカメラが追いつきません。来るであろう上方にカメラの焦点を合わせ待っています。来た、とシャッターを押そうとした時はもう通り過ぎています。

木の皮の中の虫を見つけるのか、数秒止まることがあります。その瞬間が撮影のチャンスです。

止まった時のキバシリ
横から見たキバシリ

何度か出会う中で訪れる嬉しい一瞬です。誰が名付けたかはわかりませんが、キバシリとは言い得て妙、と感心しきりです。

次はヤブサメです。

ヤブサメ

昔の人の繊細さが伺われる名付けです。鳴き声はジッジッです。そのジッジッというのが、薮でシトシトと降る雨のように聞こえ、ヤブで雨のように鳴く鳥、ヤブサメとなったそうです。

その昔の、貴族のような優雅な人達は、生け垣などに囲まれた静かな邸宅で、ジッジッという鳥の鳴き声に耳を澄ませていたのでしょう。特に雨の降っている日には出歩くこともなく、シトシトと降る雨に鳥を重ねるという、風流、あるいは“わび”という言葉がぴったりの世界が思い浮かびます。

ただ、撮影には難しい鳥の一つです。警戒心が強いので、ブッシュから出てきてもすぐに中に入ってしまいます。何度か出会っていますが、撮影できたのは2度だけです。

ちなみに、ネットで見た野鳥観察難易度によると、ヤブサメは 3(数字が大きいほど難易度は上がります)、キバシリはオオアカゲラやマミチャジナイと同じランクの4 でした。

アクトパル宇治とその周辺の野鳥写真集にある中では、ヤマドリが 5で最高難度となっています。ただ、難易度の表は10までありますので、ウォークバーディングの道は果てしなく長い、ですね。

次回はその③として、宇宙を思わせる名前の鳥と、何と見事な名付けかと感心する鳥をご紹介したいと思います。